きょうの健康命を守れ!脳の血管“SOS”症状がない!?ラクナ梗塞

きょうの健康 脳梗塞 ラクナ梗塞
きょうの健康5月7日の放送は、ラクナ梗塞。手足の麻痺や意識障害、言語障害などを招く脳梗塞。
ところがそうした症状が乏しく見逃されるケースがあります。
それが脳の細い血管が詰まるラクナ梗塞です。
ラクナ梗塞は、実は、脳梗塞の半数近くを占め、日本人では一番多いタイプの脳梗塞なんです。

ラクナ梗塞について教えてくださるのは、湘南慶育病院 院長 鈴木則宏先生です。
専門は、脳卒中・慢性頭痛・パーキンソン病
脳血管の病気のエキスパートです。

司会は、黒沢保裕さんと岩田まこ都さんのお2人です。
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ラクナ梗塞

脳の奥の深い場所に発生する直径15mm以下の小さな脳梗塞のことを言います。
ラクナ梗塞の“ラクナ”の意味は、ラテン語で小さなくぼみなんだそうです。
鈴木則宏先生「ラクナ梗塞の多くは、無症状なために、無症状脳梗塞である事が多いです。
したがって、発見が難しいことが多いです。
しかし、近年MRIなどの画像診断の技術が発達して人間ドックなどでラクナ梗塞の発見が多くなっています。
特に高齢者の男性に多いです」

Q.無症状なら心配がない?
A.ラクナ梗塞がある人は、本格的な脳梗塞・脳出血を起こすおそれがあります。
また、認知症のリスクも高まりますので、なかなか侮れない病気です。

●症状がない!?ラクナ梗塞
まずは、この梗塞を見つけるにはどうしたら良いのでしょうか?
Qラクナ梗塞は脳の血管のどの辺りにできる?
A.ラクナ梗塞は、大きな血管から枝分かれした穿通枝(せんつうし)の先にある血管が詰まります。
脳梗塞には、太い血管で詰まるものと細い血管で詰まるものがあります。
太い血管で起こる脳梗塞は、脳の組織が広い範囲でダメージを受けるため、様々な症状が現れます。
一方細い血管が詰まった場合は梗塞する範囲が小さいため、症状が現れにくいのです。

Q.ラクナ梗塞はどう見つける?
A.ラクナ梗塞の検査=MRIで見つける事ができます。
最近のMRIは、高性能で解像度が高いので、見つけ出す事ができます。
本格的な脳梗塞を起こした場合は、上半身と下半身に麻痺が起こります。

検査を受けた方が良い方は?

ラクナ梗塞の主な原因
加齢 高血圧
糖尿病 脂質異常
慢性腎臓病 過度の飲酒
運動不足 喫煙
肥満 ストレス
家族歴 など

Q.特に注意する事は?
1.高血圧
*長期の場合、血管が痛んでしまうため、特に注意、傷ついた血管にコレステロールなどがたまり、血流が悪くなります。
脳の中の血管は、その影響を受けやすいため、高血圧が続くとラクナ梗塞が起きやすくなります。
2.糖尿病
3.慢性腎臓病

●血圧管理で悪化を予防!
Q.血圧管理にはどんな事に気をつければ良い?
A.
・塩分を控える
・降圧剤の使用
・禁煙
・節酒
・1日30分以上の有酸素運動を行う
・食習慣の見直し

*正しい血圧のはかり方
1.測定する腕と心臓の位置をおなじ高さに合わせる。
2.カフは、ひじの関節から1~2cm上に装着する。
3.きつく締めず緩やかに隙間がないように巻く。
4.緊張せずリラックスする。
5.測定中は、会話はしない。
6.朝・晩決まった時間に測定する。
・夜の場合は、服薬・飲酒・入浴前に行う。
*毎日継続するというのが大事
◆脳卒中の発症率
・上が120未満かつ下が80未満の場合:7.3%
↓約3倍にアップ
・140以上または90以上の場合:23.8%
・180以上または110以上の場合61.7%
ラクナ梗塞の予防には、血圧を下げる事が大事です。

●ラクナ梗塞で認知症?
ラクナ梗塞は、放置すると認知症の原因となってしまう事があるんです。
Q.ラクナ梗塞と認知症の関係は?
A.
・アルツハイマー型認知症:特殊なたんぱく質による神経細胞の破壊が原因と考えられています。
アルツハイマー型認知症症状:認知機能が徐々に低下して、物忘れや受け答えが変化。
・血管性認知症の症状:ラクナ梗塞が多発し、血管が詰まると、脳の細胞に必要な酸素や栄養が運ばれなくなり、認知機能に障害が出る事があります。
血管性認知症の症状:同じ時期に起こった事なのに覚えていない方やまたは覚えている方もいる記憶がまだらになっている(これをまだら認知症と呼んでいるそうです。)
まだら認知症は、血管性認知症の代表的な症状になっているそうです。
まだら認知症:興味がない事は忘れる、1日の間で反応がことなるなど

◆血管性認知症の症状のまとめ
1.記憶障害(まだら認知症)
2.歩行障害・転倒
3.頻尿・尿意切迫
4.まひ
5.喜びや怒りなどの感情が簡単に多く出てしまう、感情失禁など

今回のラクナ梗塞の内容については、きょうの健康5月号に詳しく載っています。

最後に

ラクナ梗塞を予防するには、とにかく血圧管理が大事だということを鈴木則宏先生が繰り返し、仰っていたので、血圧に不安がある方は、一度MRI検査をすることをおすすめします。
最後までありがとうございました。