きょうの健康命を守れ!脳の血管“SOS”もやもや病 最善の対策

きょうの健康 もやもや病 最善の対策
きょうの健康5月9日の放送は、静脈が徐々に細くなるもやもや病。
放置すると脳梗塞や脳出血の危険が・・・
気付くには?治療法は?専門家の先生がもやもや病の最善の対策を教えてくれました。

もやもや病について教えてくださるのは、湘南慶育病院 院長 鈴木則宏先生です。
専門は、脳卒中・慢性頭痛・パーキンソン病
脳血管の病気のエキスパートでいらっしゃいます。
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もやもや病

海外では、モヤモヤ・デイジーズ(病気)と呼ばれています。
もやもや病:脳の中にもやもやとした血管ができる病気です。

●もやもや病って一体なに?
もやもや病とはどんな病気なのか?
Q.もやもや病の「もやもや」とはどんな状態?
A.もやもや病の血管と正常な脳血管の比較の画像はこちら
もやもや病の血管は、正常な脳の血管に比べて網の目状でもやもやっとした血管がある事が分かります。

Q.どうしてこんな状態になる?
脳には、内頸(ないけい)動脈という太い血管があります。
しかし、内頸動脈の終末部は細くなっています。
もやもや病の場合その細くなった内頸動脈の部分が閉塞し、その先の血管に血流が不足してしまうため、その結果、不足した血流を補うため毛細血管が発達し、本来は存在しないはずの血管ができます。
その血管がもやもやとしているように見えるため、もやもや病と呼ばれています。
画像は、上述のリンク先にあります。
以前、健康カプセル!ゲンキの時間で、もやもや血管についての放送がありました。
【健康カプセル!ゲンキの時間】長引く肩こり・痛みの原因を大解明!

◆もやもや病の症状
・失神、頭痛
・脱力発作=急に体に力が入らなくなる
*もやもや血管は、細くて詰まりやすいため、脳の血流不足で脱力発作などが原因で起きることが考えられます。
・片側の手足のまひ
・不随意(ふずいい)運動
・けいれん
・失語症、記憶力の低下など
*血流不足で脳機能がさらに低下すると、失語症、記憶力の低下などの症状が現れる事があります。

◆もやもや病のタイプ
・虚血型(脳の血流不足で発症)
・出血型(もやもや血管が破れ、出血することで発症)
タイプ別の発症年齢のグラフはこちらの中ほどにあります。
*このグラフを見ると、小さなお子さんにもやもや病(虚血型)が多い事が分かります。
Qどんな事に気をつければ良い?
A.失神は、息を吹く事で起こる事がある(長時間のリコーダーに注意)
*長時間このような状態(息を吹く)が続くと、もやもや血管が収縮するため、失神やまひが起こる事があります。
Q.年齢と共に発症が減り、逆に出血型が増えてくるのはどうして?
A.大人になると、新しくできた血管がある程度安定してくるため、脳の状態も全体として安定してきます。
ところが、血流により、もやもや血管に負担かかり、脳出血として現れる事があります。
出血型=血管が破れる脳に重篤な症状が現れる場合もあります。

Q.脳のもやもやがどうして起きてしまう?
A.もやもや病には遺伝子が関係しているという報告があります。
原因解明に向けて物を始め様々なところで研究が進められています。

●検査で異変を捉える!
もやもや病を見つけるための検査を紹介します。
検査は主に3つ
・MRA
・脳血管造影検査:カテーテルで、脳血管に造影剤を注入し、X線撮影を行います。
造影剤で血管の詰まりが起こった部分と、新しい血管の状態の詳細まで検査できるので、重要な検査だと言えます。
・脳血流検査:脳血管の詰まり具合により、血流がどの程度減っているかを調べる検査です。

Q.もやもや病は自然に治る?
A.残念ながら、自然に治る事はありません。
放置していると、脳出血の原因となるリスクがあるため、早期の治療を検討する事が大事です。

●もやもや病とわかったら
もやもや病による脳梗塞や脳出血のリスクを抑えるための治療について紹介します。
治療には薬と、手術があります。
◆薬:
・抗血小板薬(血液の流れをスムーズにする)
・抗けいれん薬(けいれん)
もやもや病を根本的に治療する薬はなく、症状を抑える
・鎮痛薬(頭痛)
・降圧薬(高血圧の場合、血管を傷つける恐れがあるため)
◆手術
薬だけの治療に限界がある場合に脳血流を増やすために下記の手術を行います。
*血行再建術:どちらも全身麻酔をしての開頭手術です。
・直接バイパス術:頭皮の血管を脳の表面にある中大脳動脈に直接つなぐ手術
・間接バイパス術:血流が豊富な組織である、皮下の血管や筋肉を脳の表面に接着させ、そこから新しい血管の発達を促す手術
お子さんの場合は、血管が増える場合もありますが、大人の場合は、増えない場合があります。
そのため、成人の場合は、直接バイパス術がすすめられます。

最後に

もやもや病は放置していると、脳梗塞や脳出血のリスクがある病気ですが、
あまり効いた事がない病気で、お子さんに多いというのは以外でした。