2019年8月29日放送のきょうの健康の特集は、糖尿病 一人一人の対策。今回は「全身に合併症 認知症・がんも?」について紹介されました。
糖尿病で怖いのは合併症です。目・腎臓・神経の障害のほか脳梗塞や心筋梗塞さらに認知症やがんに関係することも分かってきました。
糖尿病では合併症対策を欠かすことができません。
今回は糖尿病の合併症対策について紹介してくれました。
教えてくださったのは、京都大学大学院 教授 稲垣暢也先生です。
糖尿病は合併書こそ怖いと警鐘を鳴らされています。
講師:京都大学大学院 教授 稲垣暢也先生 専門は糖尿病
キャスター:黒沢保裕さん・岩田まこ都さん
目次
全身に合併症 認知症・がんも?
●糖尿病の主な合併症(三大合併症)
- 糖尿病網膜剥離⇒失明
- 糖尿病腎症⇒透析治療
- 糖尿病神経障害⇒足の切断
その他、
▼動脈硬化による
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
全身に合併症 認知症・がんも?今回のポイント
三大合併症の対策は?
三大合併症は目・腎臓・神経に起こる病気です。
そういったところには、全身の中でも特に細い血管が集中しています。
そのため、高血糖によるダメージが起きやすいのです。
- 糖尿病網膜剥離
網膜には細い血管が集中しています。
高血糖によるダメージを受けると、出血や網膜剥離につながります。
- 糖尿病腎症
腎臓は、血液中の老廃物(余分な水分・塩分)をろ過し、尿として排出しています。
中でも腎臓の中に無数に存在している糸球体は細い血管が糸玉のように集まっている重要な部分で、 そこが高血糖で障害され壊れてしまうことを腎症といいます。
これが進行しますと、人工透析が必要になってきます。
実際に人工透析の原因は糖尿病が最も多いと言う事でした。
- 糖尿病神経障害
●神経障害
▼末しょう神経の障害⇒足のしびれ・痛み・感覚マヒなど
▼胃のもたれ・便秘・排尿障害・勃起障害など
Q.糖尿病神経障害では足の切断にまで至るのはなぜ?
●足の病変の原因
- 足の感覚が鈍くなる⇒キズやヤケドに気付きにくい
- 高血糖により免疫力が低下⇒キズが化膿しやすい
- 動脈硬化⇒足の血行が悪くなる
ちょっとしたキズが場合によっては壊疽(えそ)までに至り、切断につながります。
足の病変を防ぐケア
- 日頃から足をよく観察し、異常を見逃さないこと。
- 足に合わない靴を履かないこと。
- やけどをしないように注意をする。
- 足を清潔にする。
Q.三大合併症を防ぐには?
血糖値を下げること=HbA1c7.0%未満を目標
⇒ 【きょうの健康】糖尿病血糖値!高血糖にも低血糖にも注意!低血糖の症状とは?
さらに、高血圧・脂質異常症・喫煙もリスクにつながります。
網膜症や腎症はかなり進行するまで自覚症状がないという問題があります。
●早期発見のための検査
糖尿病の方は、自覚症状がなくても定期的な検査を行いましょう。
- 網膜症:眼底検査
- 腎症:尿中アルブミン検査
たんぱくのひとつ、アルブミンは腎症のきわめて早い時期から尿に漏れるため、尿中アルブミン検査によって見つけることができるそうです。
一般的な「尿タンパク検査」だけでは早期発見が難しいそうです。
動脈硬化の対策は?
糖尿病は動脈硬化の大きな原因です。
動脈硬化が進むと、脳梗塞や心筋梗塞につながります。
*糖尿病⇒ 脳梗塞・心筋梗塞のリスク2~3倍高まることが知られています。
脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすと命に関わりますし、後遺症が残り、普段の生活に支障をきたしてしまいます。
ですから、動脈硬化のリスクを忘れてはいけません。
Q.脳梗塞・心筋梗塞を防ぐには?
- 早期から血糖値を下げる
- 長期間血糖値を下げる
- 高血圧・脂質異常症も治療
- 禁煙
- 低血糖にも注意
低血糖を起こすと、副交感神経が活性化し、それが脳梗塞や心筋梗塞の引き金になります。
糖尿病の早期から血糖値を低く保ち続けた結果
↓10年後
心筋梗塞が減少 効果は10年続いた。
*イギリスでの検証
認知症・がんどんな関係?
Q.認知症と糖尿病との関係は?
糖尿病⇒アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症の発症が2~4倍高まることが分かっています。
糖尿病⇒脳梗塞⇒脳血管性認知症
細い血管が阻害され、その結果脳血管性認知症を起こすことが考えられています。
アルツハイマー型認知症については、まだまだ原因がよくわかっておらず、今後の研究の待たれるところだそうです。
重症低血糖や血糖値の変動も認知症のリスクを高めることも分かっているそうです。
※適度な運動は、認知機能の低下を防ぐということも分かっているそうです。
Q.糖尿病とがんの関係は?
糖尿病になると、↓リスクが高まります。
- すべてのがん:1.19倍
- 肝臓がん:1.97倍
- すい臓がん:1.85倍
- 直腸がん:1.40倍
*「糖尿病とがんに関する委員会報告」より
という報告がありますが、まだまだ詳しい原因は分かっていないそうです。
すい臓がんは早期発見が難しいがんですが、
糖尿病の経過からすい臓がんを早期発見できることがあるんだそうです。
すい臓がん発症
↓
インスリン分泌低下の可能性が考えられる
↓
糖尿病の急な悪化・発症
稲垣暢也先生のところでも、糖尿病で血糖値が急に高くなったり、
誘因なく糖尿病が発症した場合には必ずすい臓がんの検査をしているそうです。
最後に
糖尿病は合併症こそが怖いと言える病気ですね。
逆に言えば、合併症さえ抑えられれば糖尿病の患者さんも健康な人と同じような生活を送れると思いますので、 糖尿病の治療をしっかりと続けて欲しいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。