【きょうの健康】便秘2つのタイプとその対策を正岡健洋さんが紹介!

便秘2つのタイプ
2024年3月11日放送のきょうの健康はなんとかしたい!便通の悩み 「便秘2つのタイプ・あなたはどちら?」で便秘2つのタイプと対策について紹介されました!
教えてくれたのは国際医療福祉大学教授の正岡健洋さんです。

便秘2つのタイプを知って効果的な対策を

「便秘」で悩む人は、全国で1000万人以上と言われています。
「苦しくなったら下剤に頼る」「洗浄トイレで刺激して出す」など、
自己流の対策の中には、返って便秘を悪化させてしまうものもあるので注意が必要です。しかも、便秘のタイプによって有効な対策が違います。
自分のタイプに合った方法を知って便秘のモヤモヤを解消して、スッキリした毎日を送りましょう。

便秘のタイプ

便秘は原因によって「排便の回数が少ないタイプ」と「排便が困難なタイプ」の2つに大別されます。

排便の回数が少ないタイプ(週3回未満)

便秘に悩む人に圧倒的に多いのが、このタイプです。
排便の回数が減ってしまう原因は大きく2つあります。
①ストレスなどの影響で大腸の動きが悪くなり、便を直腸、肛門へとうまく送り出せない場合です。
②食事の量が少ないために便の量そのものが少なくなってしまう場合で若い女性や高齢者に多く見られます。

排便の回数が少ないと便が長い間、大腸にとどまり、水分が吸収されて便が硬くなるのでいっそう排便しづらくなります。
硬くて小さな「コロコロ便」の状態になります。

排便の回数が少ないタイプ(週3回未満)の対策

排便の回数が少ないタイプの対策の柱は、「食生活」「運動」「排便環境」「薬」です。

対策「食生活」1日3食欠かさず摂る

排便の回数が少ないタイプの人で偏食やダイエットをしている人は、そもそもの便を作る食事量が不足しています。
食事をしないと胃腸が動き始めません。
1日のうちで最も活発に胃腸が動くのは朝なので特に朝食を抜かないようにします。

発酵食品や食物繊維を摂る

ヨーグルトや納豆などの発酵食品や食物繊維を摂って腸内環境を整えることが大切です。
腸内細菌のバランスが崩れていると便秘を起こしやすくなります。
・水溶性の食物繊維:いわゆる善玉菌のエサになります。
・不溶性の食物繊維:便のカサを増やし押し出しやすくします。
どちらもとるようにします。
食物繊維が豊富な食品として「便通異常症診療ガイドライン2023(慢性便秘症)」に
掲載されているのはキウイフルーツ、プルーン、玄米などの米、豆腐や納豆などの豆類などです。
このような食品を多く摂ると慢性便秘症の人の排便回数が増加することがわかっています。
ただここに挙げた食品に限らず、食物繊維を多く含む食品の中で自分が食べやすいものを意識して摂るとよいでしょう。
白米を玄米や雑穀にする、パンは全粒粉を使ったものにするなどは食物繊維を習慣的に摂るためにおススメです。

排便が困難なタイプ

肛門の筋肉や骨盤の下にある骨盤底筋などに障害が起こり、
筋肉がゆるまなくなると便が直腸にたまっていてもなかなか排便できません。
そのため強くいきんでも、便が肛門でつまる感じになります。
排便できても残便感があり、頻回便・つまり便の回数が増えるなどの症状が現れます。
原因は「筋力の低下」や「いきむ力の衰え」、直腸にポケット状のふくらみができる「直腸瘤」などがあり、特に高齢者に多く見られます。

対策「運動」

排便では肛門や骨盤の筋肉の他にもいきむ際に「腹筋」など全身のさまざまな筋肉が使われます。
筋力の維持には日常的な運動が大切です。
大腸を動かすのは副交感神経ですが運動によって交感神経を刺激すると休息した時に副交感神経の働きが高まり、大腸が動き出します。
特にウォーキング・ジョギング・水泳などの有酸素運動は腸の動きを良くし、便秘改善につながることが分かっています。
毎日の生活の中でこまめに動く、階段の上り下りをするなど積極的に体を動かすようにします。

対策「排便環境」

排便環境を整える心得は3つあります。
①トイレタイムを作ります。
②トイレは我慢しない。
③○○○○の姿勢で座ります。

①トイレタイム

毎日時間を決めてトイレに行くようにすると最初のうちは便意が起こらなくても次第に脳や体が順応して決まった時間になると脳から指令が出て便意が起こるようになります。
特に朝は忙しいからといってトイレを後回しにしがちですが、少し早起きをして出勤や通学などの前に排便を済ませるだけの時間的な余裕をもつことが大切です。

②トイレは我慢しない

「便意」を感じた時に忙しかったり、トイレが近くになかったりして我慢をすると、便意は引っ込んでしまいます。
しかし、これを繰り返していると、直腸が鈍感になって「便意」を感じる力が弱まり、排便のリズムが乱れて便が停滞してしまうといった悪循環に陥ります。
会社や学校など外出先で便意をもよおした場合でも迷わずトイレに行くことのできる環境を整えておくことも大切です。

③○○○○の姿勢

便秘の改善には排便時の姿勢も大切です。
背筋を伸ばして座ると直腸から肛門にかけては横から見ると「く」の字のような形をしています。
「○○○○」の姿勢で座るとはロダンの彫刻「考える人」のような姿勢で座ることです。
排便時に上半身を前かがみにして深くかがむと直腸から肛門が真っ直ぐに近い形になり、排便しやすくなります。
直腸と肛門をまっすぐに近い形にするには、太ももと上半身の角度が、35度くらいになるように上半身を前傾させるのが理想的な姿勢です。
ポイントはひざを肛門より高い位置にすることです。
トイレに足台を置くのも一つの工夫です。

対策「薬」

処方薬

処方される薬には、便を軟らかくして排便を促す作用がある「酸化マグネシウム」「ポリエチレングリコール」「ラクツロース」などがあります。
また、ここ数年新しい効き方をする薬もいろいろ登場しています。
腸の中に水分を分泌させ便を軟らかくする作用がある上皮機能変容薬「ルビプロストン」「リナクロチド」、
大腸の動きを活発にする胆汁酸が大腸に届きやすくする胆汁酸トランスポーター阻害薬「エロビキシバット」などがあります。

漢方薬の大建中湯(だいけんちゅうとう)は、お腹が張って腹痛もあるという人の便秘によく使われます。

市販薬

市販薬にも便秘薬があります。
適切に使って効果があればそれでも良いのですが、「アントラキノン」系の刺激性下剤には注意が必要です。
センナ、ダイオウ、アロエなどに含まれる成分です。
市販薬ではセンノシドやセンナと表記されています。
一時的に効果がありますが、頻繁に使うと次第に効かなくなり、便秘を悪化させる危険があります。
毎日使用するのはやめましょう。
どうしてもという時にだけ一時的に使うようにします。

排便が困難なタイプの対策

「食生活」「運動」「排便環境」については「排便回数が少ないタイプ」と同じですが、
「薬」については少し違う対応をします。

坐剤、浣腸などは直腸を物理的に刺激することによって排便を促します。
ただし、耐性ができると効果が弱くなることがあるので長期連用は避けましょう。
飲み薬のポリカルボフィルカルシウムは便をゲル状にして出しやすくします。
整腸剤は乳酸菌などの製剤で腸内環境を整えて排便を促します。

受診の目安

便秘に悩む人の中には「毎日排便しないといけない」と思っている人も少なくありませんが、
週に3回程度の排便でも腹痛や腹部膨満感、残便感などがなくスムーズに出ていれば問題はありません。
市販薬を適正に服用しても効かず、不快感が続く場合は受診しましょう。
便秘外来や胃腸科、消化器内科などが適していますが、一般の内科などでも良いので受診して相談しましょう。

まとめ

参考になれば幸いです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。