チョイス 冬のかゆみの予防法【皮膚の防御機能を保つ行いとは?】関東裕美先生が解説!

冬のかゆみの予防法
チョイス@病気になったとき2020年2月22日放送で、「何とかしたい 冬のかゆみ」について紹介されました。
寒い冬お肌の悩みと言えば、「乾燥によるかゆみ」しっかり保湿しているつもりでも、なぜか全身に広まっていくこともあるんです。
さらに冬のかゆみの原因は乾燥だけではありません。薬だけではなかなか治らないかゆみもでも大丈夫チョイスはあるんです!
冬のかゆみの原因と治療からすぐ出来るお肌の乾燥対策まで冬の肌を守るチョイスをしょうかいしてくれました。
冬のかゆみについて教えてくれたのは、東邦大学医療センター大森病院 皮膚科 臨床教授 関東裕美先生です。

何とかしたい 冬のかゆみ

講師:東邦大学医療センター大森病院准教授 関東裕美先生
司会:八嶋智人さん・大和田美帆さん

乾燥が引き起こす冬のかゆみとは?

佐々木さん女性(48・仮名)の体験談

今から20年前の冬、突然かゆみに襲われました。
最初は背中と指先、足の末端も多少赤みがあったそうですが、皮がむけそうで乾燥している感じだったそうです。
かゆみの原因は乾燥だと思った佐々木さんは、市販の保湿剤を使ってかゆみを抑えようとしましたが全く効果がありませんでした。
次に疑った原因は「ダニ」畳にダニがいると思い畳を徹底的に掃除し、布団もダニ除けのカバーを使用し、掃除もマメに行ったそうです。
しかし、かゆみは全く引かず、寝ている時にかゆいところを掻きむしってしまうこともあったそうです。
1年経っても症状は改善しなかったため、近所の皮膚科を受診。そこで処方されたのは炎症を抑えかゆみを鎮める効果のある「ステロイド」の塗り薬でした。
ところが症状が改善するどころかかゆみや赤みは首や顔にまで広がってしまったのです。
佐々木さんは化粧も出来ず、引きこもりがちになってしまったそうです。
そんな佐々木さんは知人のすすめで大学病院を受診することにしたそうです。
血液検査と問診の結果「皮脂欠乏性湿疹」と診断されたそうです。
皮脂欠乏性湿疹:乾燥によって起こる代表的な冬のかゆみです。
皮膚の一番外側にある角質層は通常皮脂に覆われて水分を保ち、外からの刺激を防ぐ働きをしています。
しかし、気温が低くなると皮脂が少なくなります。
その結果、角質層内で水分を保つ働きをしている細胞間脂質も減少。
すると皮膚は乾燥し、角質層が乱れ外からの刺激が入りやすくなってしまいます。
さらにかゆみを感じる神経繊維が増えたり伸びたりするため、余計に刺激に敏感になるためかゆみを感じやすくなるのです。
佐々木さんにはステロイドに加えて乾燥やかゆみを鎮める当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が処方されました。
さらに皮膚の防御機能を保つために医師から指導された「あること」を続けました。
すると長年悩み続けたかゆみが半年で改善したのです。

皮膚の防御機能を保つためのあることとは?

室内湿度は60%以上
洗いすぎない⇒泡で洗う(石けんはしっかり泡立てます)
*泡立てると洗浄剤で肌が傷つきません。
*手でなでるように洗います。

×ボディータオルなどでついたキズに洗浄剤が入り込んでかゆみを誘発することも。
*冬場、高齢者や皮膚が痛んでいる場合は、石けんの使用は避けましょう。
*かゆいところは、石けんで洗わないようしましょう。
*シャワーの水圧は弱くします。
水圧の強いシャワーは皮膚をこすっているのと同じだそうです。
*脂が出るところ:手の平・足の裏・脇の下・股のみを洗うと良いそうです。
関東裕美先生によると、湯船につかることで皮脂が溶けるのでその時汚れを落とすと良いとのことでした。
防御機能を守るには、40℃以下のぬるま湯に5分はつかるようすること。

Q.石けんはどんなものがいい?
石けんは弱酸性がおすすめだそうです。
●皮膚の防御機能を保つポイント続き
お風呂上がりはすぐ保湿剤
関東裕美先生によると、保湿剤は治療に匹敵するそうです。
タオルで優しく水気を取り、裸のうちにすぐに保湿剤を全身に塗ると良いそうです。
服を着てしまうと全身に塗れないのですぐに塗るようにとのことでした。
保湿剤は広範囲に塗るというのが大事でかゆみを止めるのではなく、かゆみを出さないために塗るものと言う事でした。
そして保湿剤を塗れば、ステロイドを使わなくて済む場合もあるそうです。

また、保湿剤は自分の好きな香り・使用感で選らんでも良いそうです。
*保湿剤がしみたら使用をやめましょう。
関東裕美先生によると、保湿剤がしみる場所は病的(薬が必要)な場所⇒治療薬を使用します。

保湿剤に含まれる成分と効果

●ヘパリン類似物質・ビタミン
保湿・血流改善
●セラミド
・保湿機能と防御機能アップ
●ワセリン・ヒアルロン酸・水溶性コラーゲン・オリーブ油・ツバキ油・スクワラン
・保湿・硬くなった皮膚の除去
ワセリン:刺激が少ない。病院でも処方されます。
●尿素:ワセリンと比べ刺激があるので、顔への使用は避けましょう。
・硬くなった皮膚(肘・膝・かかとなど)を溶かす
◆保湿剤を使う量
手の平2枚分の面積に、指先1本分が目安だそうです。
関東先生は、指第1関節くらいの長さまでクリームを出していました。
関東裕美先生によると、血流が悪いためにかゆみが起きている場合もあるそうです。
防御機能を守るポイント:中心から末端へマッサージをしながら塗ります。
そして保湿剤はかゆみのない部分にも塗ります。
Q.お風呂の温度は?
皮膚の防御機能を守るには40℃以下のぬるめのお湯でリラックスしてゆっくり入るのが良いそうです。
皮脂欠乏性湿疹:ぜんそく・花粉症・アトピー素因があると悪化しやすいそうです。
夏と同じように洗うと汗や皮脂の出方が違うため悪化するので冬は洗う回数を減らすようにと言う事でした。
●皮脂欠乏性湿疹の出来やすい場所
全面:腕やすね
後面:肩甲骨の辺りや腕・腰・ふくらはぎ
●皮脂欠乏性湿疹の治療
・保湿剤(基本):塗り薬
・ステロイド:塗り薬⇒炎症がある場合
ステロイドは炎症を抑えるもので、皮膚の防御機能を戻すものではないそうです。
過度に使用すると、かえって防御機能を落としてしまうこともあるそうです。
・抗ヒスタミン薬:飲み薬⇒かゆみが強い場合

脂漏性湿疹:皮脂の分泌のコントロールが上手くいかない
洗いすぎが原因の場合があるそうです。
冬はしっかり保湿することが大切だそうです。

乾燥だと思っていたら別の原因が隠れていたケース

田島誠さん(80)の体験談

40歳を過ぎた頃から肌が乾燥してかゆくなることがありましたが、
市販の保湿剤を使ってしっかり対策をしてきました。
しかし、1年前の冬、太ももやお腹にかゆみと湿疹が現れたのです。
体中にブツブツとできてかゆい。あっちもこっちもかゆいため、
我慢できず、皮膚科を受診しました。
血液検査と問診の結果、皮脂欠乏性湿疹と診断されました。
ステロイドと抗ヒスタミン薬が処方されました。
1回は治まった物の、またすぐぶり返してきたそうです。
そこで再度皮膚科を受診。
すると、田島さんの病歴を再確認した医師は、別の原因を疑いました。
それは田島さんが10年前から飲んでいた痛風の薬は副作用によってかゆみを引き起こす可能性があったのです。
田島さんはこの薬を10年前から飲んでいたのになぜ突然かゆみが現れたのでしょうか?
関東裕美先生によると、70・80代になったら50代とは違い代謝能力が落ち、
糖・尿酸・脂質の代謝や肝機能・腎機能が上手く動かないとかゆみが出るそうです。
そこで、痛風の薬は別の薬に変更すると、効果が徐々に現れ、湿疹やかゆみが治まったそうです。

かゆみを引き起こす病気

糖尿病
白血病
肝臓病
がん
腎不全など
内臓の病気によるかゆみ:
関東裕美先生によると、かゆみを引き起こす物質「βエンドルフィン」の脳内での増加が原因だそうです。
保湿剤だけでは治らないので医師に相談を

薬が原因ではないかゆみの対処法

・冷やす
・かゆみ止めの塗り薬を使う

寒さで起きる意外なかゆみとは?

谷繁里紗湖さん(22)の体験談

かゆみに襲われたのは小学3年生の冬。
外で体育の授業を受けている時でした。
赤く全体にまだらに湿疹が出てビックリしたそうです。
とにかくかゆくかきむしらないと耐えられないほどのかゆみだったそうです。
しかし、体育が終わって教室に入って1時間ほどでかゆみと湿疹は消えるそうです。
湿疹が全身に出た時はひどいそうですが、時間が経つと何も残らないそうです。
治ってしまうので親に伝えず過ごしてしまったそうで、その後も寒い場所に行くと、
かゆみや湿疹が度々現れるようになったそうです。
しかし、それでも病院に行くことはなく、マスクやネックウォーマー、マフラーなどで対処したそうです。
外出の時は少し肌寒い時は必ず長袖を着る。昼は暑くても夜冷えると分かっている時は、
とにかく長袖長ズボンを着て肌が見えないように心がけてきたそうです。
思春期を迎えた時期に顔が赤くなるのがイヤで治したいという気持ちが強くなったそうです。
そこで近所の皮膚科で診てもらうと「寒冷蕁麻疹じんましん」の疑いがあると言われたそうです。
じんましんは免疫の過剰反応によって起こります。
防疫反応に重要な役割を果たしているのが「マスト細胞」。
このマスト細胞が何らかの原因で刺激を受けるとヒスタミンという物質を放出します。
ヒスタミンが血管に作用すると、血管から水分が飛び出します。
それが皮膚の下にたまるため、赤く腫れてしまいます。
さらにヒスタミンはかゆみを感じる知覚神経を刺激します。
それにより強いかゆみを生み出します。
寒冷蕁麻疹の場合、冷たい温度が刺激となってかゆみが起こるのです。
それで谷繁さんはアレルギーの薬を飲めば落ち着いてくると言われ安心したそうです。
谷繁さんは処方されたかゆみを止める抗ヒスタミン薬2週間飲み続けました。
がしかし、全く効果がなかったそうです。
薬が効かず、赤みがほとんど変わらなかったそうです。
なので2週間おきに薬を変えるというのを繰り返したそうです。
その後もアレルギーに関する薬を何種類も飲みましたが、症状は治まりませんでした。
そこで谷繁さんはあるチョイスをしました。
知人に相談してじんましんの専門医を紹介してもらったそうです。
そこで改めてじんましんの原因を調べます。
その結果診断はやはり寒冷蕁麻疹でした。
谷繁さんを診察した広島大学 皮膚科 教授 秀道広先生によると、
従来の薬で治る人は問題ないそうですが、中にはとても治りにくい人もいるそうです。
谷繁さんの場合も前の病院で10種類以上の抗ヒスタミン薬を薬を試していたそうです。
しかし効果はなく、気がつけば5年の月日が流れていました。
ヒスタミンとかゆみに関わる物質「PAF」を抑える新薬が出たと聞かされたそうです。
その薬を試してみたところ、かゆみや赤みはすぐに改善し、寒くなってからでも外出が出来るようになりました。

●寒冷蕁麻疹が起きるきっかけ:
・冷たい外気
・冷房の風
・冷たいものを飲む
・プール
・汗をかいて冷房に当たるなど急激な温度変化など
●難治性の蕁麻疹:
色々な種類の抗ヒスタミン薬を試します。

Q.かゆみがなくなった後でも受診してよい?
発疹が出た時に写真を撮っておくと良いそうです。

最後に

年齢に合わせたスキンケアを
また、洗い方も見直してください。
長引く時は乾燥以外が原因の可能性もありますので、
医療機関を受診しましょう。
【チョイス@病気になったとき】夏のかゆみの症状や原因と治療
最後までお読みいただきありがとうございました。