【きょうの健康】 肝臓がんの治療が進歩した!?治療の選択肢は複数

きょうの健康 肝臓がん 治療

きょうの健康2019年11月7日放送は総チェック!肝臓の病気というテーマで今回は、「進歩する 肝臓がん治療」が紹介されました。
肝臓がんの治療法には、がんを切除する手術、がんを焼き固める方法など様々あります。
がんが進行した場合に治療の中心になるのが分子標的薬という薬、がん細胞だけを攻撃し、がんが大きくなるのを防ぎます。
以前は1種類だけでしたがこの3年間で4種類に増えました。それによって治療を長く続けられるようになったのです。
肝臓がんの治療について教えてくださったのは、武蔵野赤十字病院院長 泉並木先生です。

進歩する 肝臓がんの治療

講師:武蔵野赤十字病院院長 泉並木先生
肝臓病治療のスペシャリストです。
キャスター:黒沢保裕さん・岩田まこ都さん

肝臓がん:早期発見が望ましいですが、最近では薬による治療が大きく進歩し、根治が難しいケースでも治療の選択肢が増えてきているそうです。

進歩する 肝臓がん治療(今回のポイント)

肝臓がんの治療法の選び方

肝臓がんの治療法主に5つあります。
1.切除手術(がんを切除する)
2.焼灼(しゃく)療法(がんを高熱で焼き固める)
3.肝動脈塞栓(そくせん)療法(がんに栄養を送る血管を塞ぐ)
4.分子標的薬(がんを小さくする・増大を防ぐ)⇒根治が難しい場合治療の中心になるそうです。
5.肝臓移植
がんの「大きさ」「数」「場所」「肝機能の程度」によって決まります。

がんが肝臓内にとどまっている場合、「切除手術」「焼灼療法」「肝動脈塞栓」が中心となるそうです。

がんが3個以下の場合(移転なし)
第1選択:切除手術
第2選択:直径3cm以下⇒焼灼療法・直径3cm以上⇒肝動脈塞栓療法
ただし、焼灼療法は、主要な血管や胆管から離れていることが条件になります。

切除手術が根治できる可能性が高いですが・・・
高齢・心臓や肺に重い病気がある場合「焼灼療法」「肝動脈塞栓」を選ぶことが多いそうです。

Q.がんが4個以上ある場合はどうする?
A.がんが4個以上あると治療の範囲が広くなってしまうため・・・

がんが 4個以上 の場合(移転なし)/肝機能が保たれていれば
第1選択:肝動脈塞栓療法⇒効果が不十分⇒分子標的薬(がんが移転している場合も治療の柱)

Q.肝臓移植はどのような場合に行う?
肝臓移植:肝機能が大きく低下している場合は薬は大きな負担となるため選択肢になるそうです。

【肝臓がんの治療】4種類に増えた「分子標的薬」

肝臓がんの治療法で最近大きく進歩したのが分子標的薬です。

分子標的薬:がん細胞だけを攻撃し、正常な細胞へのダメージが少ない薬です。
そのため従来の抗がん剤と比べ「効果が高く、重い副作用が出にくいのが特徴です。

肝臓がんに対する分子標的薬は2009年に飲み薬のソラフェニブが登場しましたが、しばらくはこの1点だけでした。
でもその後、2017年に飲み薬のレゴラフェニブ、
2018年に同じく飲み薬のレンバチニブ、
そして2019年6月に点滴薬のラムシルマブと立て続けに登場し、現在では4種類の分子標的薬が使えるようになったのです。

Q.4種類になって治療はどのように変わった?
分子標的薬:最大4次治療まで可能になった⇒以前より長い期間使えるようになったそうです。

Q.薬の順番は?
一時治療:最も効果が得られる確率が高い「ソラフェニブ」か「レンバチニブ」のどちらか。
二時治療以降:効果の出方や副作用をみて、医師が判断します。

●分子標的薬の副作用
・レンバチニブ:血圧上昇・たんたく尿・甲状腺機能低下など
・ソラフェニブ・レゴラフェニブ:手や足に痛みが起こり、歩行障害を起こすことがある手足症候群・下痢など
・ラムシルマブ:血圧上昇・むくみ・たんぱく尿などですが、
いずれも起こるのは患者さんの1/4程度で他の薬と比べ副作用が少ないのが特徴です。

Q.副作用にどう対処する?
・血圧上昇:降圧剤でコントロール
・たんぱく尿や甲状腺機能:血液検査でチェック

Q.手足症候群とは?
手足が赤く腫れる・水疱・ひび割れ・皮膚がめくれることがあり、
歩行や手を使うことが辛くなり、治療を中断する原因の一つになることもあるそうです。

手足症候群への対処
・保湿クリームを塗る
・柔らかい靴を履く
必要な場合、計画的に薬を飲むのを休みながら治療をしていくそうです。

Q.副作用が出ても治療は続けた方がいい?
「レンバチニブ」「ソラフェニブ」「レゴラフェニブ」の薬は、
副作用が起こらない人よりも起きた人の方が、がんへの効果があることが多いそうです。

副作用は患者さんが辛い思いをするのですが、それでも薬をやめてしまうのではなく、
がんへの効果を期待して副作用に対処しながら薬を長く続けられるようにするのが大事だそうです。

【肝臓がんの治療】肝機能を保つ生活

肝臓がんの進行や再発を防ぐため大事なのは肝機能を保つことです。
そのために欠かせないのが日常生活の見直しです。

Q.肝機能を保つことが肝臓がんの対策になるというのはどういうこと?
肝臓がんは、肝機能が低下するほど、
・がんが進行・再発しやすい
・薬を使いにくくなる⇒治療の選択肢が限られてしまう

では、肝機能を保つためにどのように生活を心がけたら良いのでしょうか?

●肝機能を保つ生活
・食事をしっかり摂り、ウォーキングなど日常的な運動によって筋肉量を維持することです。

実は筋肉は「第二の肝臓」とも呼ばれて、アンモニアの解毒やブドウ糖の貯蔵など肝臓と同じような働きをしています。
筋肉量が多いほど肝臓と同じ働きをしてくれるため、肝臓の負担が減り、肝機能が保たれるのです。

また、肝臓がんのある人は筋腫、禁煙を守ることが重要です。
肝臓はアルコールを分解する働きがあるため、お酒は肝臓の負担につながります。
タバコは血流を悪くするため、肝臓にも良くありません。

Q.食事はどんな食事?
●筋肉を保つ食事(1日、4~5回に分けて摂る)
・バランス良く
・タンパク質を意識(肉・魚・乳製品・卵・大豆製品など)
*ただし、肝性脳症がある場合は悪化する場合があるため、タンパク質を控える(意識状態が悪くなる)

食事は、1日、4~5回に分けて摂る。一度にたくさん食べると
・肝臓に負担がかかる
・肝性脳症を起こす恐れ

●ウォーキング
・できれば毎日
・歩幅を大きめに、大きく腕を振る
*筋肉を維持するためには、全身を使うことが大事。

●筋トレ(週1日以上)
スクワット・階段上り・腹筋・腕立て伏せなど、自分がやりやすい運動で筋肉をつける。
*運動のやり方については、安全のため、事前に医師に相談してください。

Q.肝機能が保たれているかチェックする方法は?
血液検査の「アルブミン」をチェック
アルブミン(タンパク質の一種)は肝臓だけで作られる⇒血液中に
肝機能が低下⇒血液中の数値が下がる
アルブミンの数値の維持を目標に運動や食事を続ける。

今回の詳細についてはきょうの健康2019年11月号に掲載されています。

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最後に

肝臓がんは、多くの場合、治療の選択肢は複数あるそうなので、
医師と相談しながら進めたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。