【きょうの健康】強いストレスによる心の不調適応障害の症状と治療

きょうの健康 適応障害 ストレス

きょうの健康2019年10月21日放送は“こころの不調”の処方箋というテーマで今回は、「これって適応障害?」が紹介されました。
適応障害は、辛く耐えがたい強いストレスによって日常生活が困難になるほどの心の不調が現れる病気。
そのうち元気になるだろうと、やり過ごしていると他の心病気不安症やうつ病に移行する場合があります。早めに対処しましょう。
適応障害について教えてくださったのは、千葉大学大学院 教授 清水栄司先生です。

これって適応障害?

講師:千葉大学大学院 教授 清水栄司先生
適応障害のスペシャリストです。
キャスター:黒沢保裕さん・岩田まこ都さん

●適応障害の心の症状
・憂うつな気分で落ち込む
・不安感で神経質になる
・あせる気持ちなど
●行動
・涙もろくなって泣く
・わめくなど

適応障害の特徴:明確なストレスが原因で、3ヶ月以内に発症し、
原因がなくなれば、6ヶ月以内に回復するそうです。

これって適応障害?今回のポイント

【適応障害】原因は強いストレス

適応障害とその原因となるストレスとの関係についてある男性のケースで紹介します。
Aさん男性(30代)は入社後コンピューターのソフト開発を担当していました。
仕事はハードでしたがやり甲斐を感じ、張り切って働いていました。
ところが入社8年目で営業部へ異動してソフトを販売して欲しいと言われました。
営業を初めて担当するのに十分な引き継ぎや研修もなく新しい仕事に強いストレスを感じるようになります。
1ヶ月後、絶望感で毎日落ち込むことが増え、仕事をすることが不安になってきました。
やがて会社に行く朝が辛くなり欠勤が続くようになりました。
医療機関を受診したところ診断されたのは「適応障害」1ヶ月休職するよう指示されました。

ストレス:人事異動・ハラスメント(人間関係の問題)・就職・進学
・結婚・離婚・家庭内のトラブル・重病が分かったときなど

Q.適応障害の人はどれぐらい?
人口の2~8%で働いている年代に多く、女性は男性のおよそ2倍となっているそうです。

強いストレス⇒適応障害⇒ストレスがなくなれば改善
適応障害⇒放置症状が強くなる⇒行動に影響(泣く・わめく・物を壊すなど)

強いストレス⇒適応障害⇒ストレスがなくなっても症状が半年以上続く⇒うつ病(診断を見直す)←5年以内に20~50%の人

適応障害⇒ストレスがなくなっても症状が半年以上続く⇒不安症(パニック症・社交不安症)

【適応障害】怠け者じゃない!病気です

適応障害で会社を休んでいると甘えている怠けていると捉えられることも少なくありません。

Q.適応障害で会社を休むと怠けていると誤解されるケースはある?

●心の病気行動面の影響
・無断欠席⇒誤解されやすい
・学校を欠席、家にこもる⇒誤解されやすい
・集中できず、ミスばかり
・泣きじゃくる(子ども返り)
・いらいらして物にあたる
・自傷行為、自殺企図、
・無謀運転、けんか
・アルコールや薬物の乱用、インターネット依存など⇒誤解されやすい

●適応障害の診断基準
・明確なストレス要因があり、3ヶ月以内に症状が現れている
・著しい苦痛で毎日の生活に支障がある
・他の精神疾患ではない
・ストレスの原因がなくなると改善し、6ヶ月以内に良くなっている

【適応障害】治療の鍵は「ストレス」を減らすこと

●適応障害の治療
1.ストレスを減らすように環境を調整する
ストレスのもとを減らすことが基本です。
パワーハラスメント・職場になじめないなど⇒部署・人・仕事を変える
親と仲たがいをしている⇒物理的、心理的に距離を取る

2.ストレスを減らした状況に適応できるようにする
認知行動療法:ノートなどに「状況」「考え」「行動」などを書き出す
⇒心の中が整理できる

●自宅でできるストレスに関する問題解決のプロセス(Aさんのケースの場合)
1.リラックスする
問題解決に取り組む前に、まずは気持ちを落ち着けることが大切です。
自分がリラックスできる方法をいくつも書き出し、できそうなことをやってみる。
例えば、・コーヒーやお茶を飲む・深呼吸をする・散歩をする
・映画鑑賞・音楽を聴くなど

2.問題をハッキリさせる
何がどのように問題なのかを自分自身に問いかけ、問題をはっきりさせます。
Aさんの場合:今の状況のままでは、会社に行ってもつらい状況は変わらないということが問題になっています。

3.解決案を数多く出す
問題を解決するための案を、一見ばかばかしいと思えるようなとっぴな案でもかまわないのできるだけたくさん考え、書き出します。
Aさんが考えた案:
案1:思い切って会社を辞める
案2:上司に事情を話して元の部署に戻してもらう
案3:営業研修を受ける

4.点数評価する
書き出した解決案について自分で評価し、それぞれのメリットとデメリットを自分なりに考え、それぞれ10点満点で点数化します。
Aさんの場合:
案1:思い切って会社を辞める
○メリット:これでもう辛い思いをしなくて済む+5点

×デメリット:-9点
・築き上げた人間関係がふいになる
・再就職は大変
・転職を繰り返すかも知れない

案2:上司に事情を話して元の部署に戻してもらう
○メリット:+9点
・自分に合った職種になる
・元気を取り戻せそう
・以前と同様に今度もうまくいきそう

×デメリット:-3点
・評価が落ちそう
・自分勝手だと思われそう

案3:営業研修を受ける
○メリット:営業を基本から学べる+5点
×デメリット:興味を持てないかもしれない-5点

5.解決案を1つ選ぶ
問題を解決するための案のなかから、メリット・デメリットを足し算し、1つを選び出し、合計点が最も高い方法を解決法とします。
Aさんは、解決案2:上司に事情を話して元の部署に戻してもらうを選択

6.実行するのみ!
クヨクヨ悩まずに、問題解決のための行動を起こす。
うまくいっても、いかなくても、チャレンジした自分を誇りに思い、自分に自信をもつようになる。

Q.薬はある?
●不安・不眠:ベンゾジアゼピン系の薬
●うつ:抗うつ薬

●適応障害が気になったら
・精神科
・心療内科
・メンタルクリニック
などを受診
または産業医・かかりつけの内科医に相談

今回の詳細はきょうの健康2019年10月号に掲載されています。

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最後に

私はまだパワハラという言葉がなかった時代に上司からパワハラを受け、
適応障害にはなりませんでしたが、その時は思い切って退職し、精神的に楽になりました。
まあ、金銭的に苦労したのですが・・・でもまあ、ホッとした方が大きかったです。
最後までお読みいただきありがとうございました。