2019年7月29日放送のきょうの健康は、てんかん 最新情報の原因というテーマで「高齢者のてんかん」について紹介されました。
患者数約100万人といわれるてんかん。
子どもの病気と思われがちですが、年代別に見ると特に多いのが実は高齢者ということをご存じでしょうか?
さらにてんかんで認知症に似た症状が出ることも?今回は高齢者のてんかんの特徴や治療法などについて紹介されました。
教えてくれたのは、国際医療福祉大学教授 赤松直樹先生です。
講師:国際医療福祉大学教授 赤松直樹先生
大人のてんかんのエキスパートです。
キャスター:黒沢保裕さん・岩田まこ都さん
目次
高齢者のてんかん
てんかん患者数の割合
- 65歳以上:44%
- 18~64歳:39%
- 18歳未満:17%
赤松直樹先生によると、
てんかんは正しく診断し、治療すれば発作が消える治療効果が高い病気だそうです。
今回のポイント:高齢者のてんかん
【 高齢者のてんかん 】脳の病気が原因?
てんかんは多くの方が知っている脳の病気と深く関わっています。
てんかんはどのように起こるのか?
私たちの脳は約1000億個の神経細胞からなる複雑なネットワークです。
脳からの全身に命令が伝えられる際、神経細胞には、電気信号が伝わります。
体を興奮させたり、興奮を抑えたりして、そのバランスをコントロールしながら、脳は活動しています。
ところが何らかの原因で過剰な電気信号が伝わると、回路がショートして神経細胞の異常な興奮により、
体が発作を起こしてしまいます。これがてんかん発作です。
Q.異常な興奮の原因は?
●てんかんの主な原因
◆高齢者
- 脳卒中
- 脳神経の変性
- 脳腫瘍など
◆子ども(18歳未満)
- 素因生(てんかんになりやすい体質)
- 脳の形成異常(脳の神経細胞がうまく作られない)
- 脳炎(感染症や自己免疫疾患など)
認知症のような症状も!
てんかん発作=全身けいれんと思う人が多いと思いますが、小さな発作を起こす方が多いそうです。
てんかんの発作が起こると、認知症のような症状も起こることもあります。
*発作による症状の中には、「物忘れ」や「返事をしない」「何をしていたか覚えていない」など認知症のような記憶障害が起こることもあります。
記憶・意識の中枢に過剰な興奮が起こり、その間のことを全く覚えていないのです。
Q.認知症とてんかんとの見分け方は?
●意識の消失・記憶の障害
・認知症の場合:症状がずっと続きます。
・転換発作:症状が一時的
*アルツハイマー型認知症の3~5%でてんかんを合併する場合もあるそうです。
てんかんを診断するためには、いくつかの検査が行われます。
●てんかんの検査
- 問診
- 脳波検査
- 画像検査(MRIなど)
またビデオ脳波同時記録という、より専門的な検査があります。
◆問診のポイント:
周囲の人には下記の問診を行います。
いつ、どこで、どのような症状か意識の有無など
患者本人:前ぶれの症状の有無
●てんかん専門医を探すには、
・日本てんかん学会のホームページ(てんかん専門医名簿)
・日本てんかん協会に相談
相談ダイヤル:月・水・金13:15~17:00
TEL:03-3232-3811
【 高齢者のてんかん 】 どう治療する?
Q.高齢者のてんかんの治療はどう進める?
抗てんかん薬
高齢者は、抗てんかん薬が効きやすく、約9割の患者で発作が止まるそうです。
約30種類の抗てんかん薬があるそうです。
●焦点(部分)発作の治療薬
◆第一選択薬(最初に使うことが勧められています。)
・カルバマゼビン
・ラモトリギン
・レベチラタム
・トピラマート
・ゾニサミド
*効果にあまり差がない
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副作用を考慮(眠気・ふらつきなど)
高齢者の場合:
・ラモトリギン
・レベチラタム
・ガバペンチン
*抗てんかん薬は1種類から始め、増量しながら副作用がないか確かめます。
Q抗てんかん薬はどれぐらい続ける?
抗てんかん薬は年単位の治療が必要だそうです。
脳が落ち着けば減量して様子を見ます。
*薬の量を勝手に変えると、突然、大きな発作になる危険性がありますので、かかりつけ医に相談してください。
てんかんの治療では、抗てんかん薬を長期間に渡って使用するため医療費負担が大きくなりがちです。
そこで、治療費の負担を軽くするのが「自立支援医療制度」です。
●自立支援医療制度(通院公費負担制度)
・通院治療の自己負担が1割(外来での診察・投薬・検査など)
・所得によって、支払う金額が変わります。
・診断書と患者さんからの申請が必要です。
*詳しくは各自治体の「保健福祉課」などへ お問い合わせしてください。
最後に
きちんと診断して治療すれば、大部分の患者さんがてんかん発作が治り、普通の生活を送れているそうです。
心配などある時は、神経内科などを受診すると良いそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。