非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、食べすぎや運動不足で肝臓に中性脂肪がたまり、炎症が起こる病気だそうです。
3月7日放送(2018年7月に放送された回のアンコール再放送)のきょうの健康では、肝炎 進歩する治療というテーマで、非アルコール性脂肪肝炎 中性脂肪を減らせということで、NASHになりやすい人や治療のポイントや持病がある場合に気をつけたい点を紹介してくれました。
司会:黒沢保裕さんと岩田まこ都さんのお2人です。
今回、解説していただけるドクターは、東京都武蔵野市 武蔵野赤十字病院 院長 泉 並木先生(消化器科、特にB型・C型肝炎、肝がん)です。
目次
非アルコール性脂肪肝炎
非アルコール性脂肪肝炎Non-alcoholic steatohepatitis(NASH)は、食べすぎや運動不足で脂肪肝になった一部の人(肝臓に炎症が起こった人)が発症する病気だそうです。
非アルコール性脂肪肝炎⇒NASH肝硬変⇒肝がんへと進行する可能性があるそうです。
しかし、NASH肝硬変⇒肝がんへの進行を止めることは可能だそうです。
NASHの特効薬は、食事と、運動なんだそうです。
脂肪肝からNASHになりやすい人
●50歳以上の女性・男性
●BMIが23以上
●生活習慣病がある
●血液検査(ALPが高値・血小板数が低値)
泉 並木先生「肥満の一歩手前、少し太っている程度の人でもなりやすいですね」
黒沢保裕アナ「年齢も関係しているんですか?」
泉 並木先生「男性の場合は、20歳を超えると、内臓脂肪がつきやすくなりますね」
「女性の場合は、子どもの頃から、比較的脂肪肝になりやすいです」
NASHから肝がんになりやすい人
●60歳以上
●BMIが30以上
●2型糖尿病がある
●血液検査(血小板が低値・肝機能低下)
NASHの診断
泉 並木先生「まず、血液検査と、超音波検査で脂肪肝であるかどうかどうか調べます」
「ただ、超音波検査では、脂肪肝かどうか分からないことがあるため、肝生検を行います」
肝生検(かんせいけん):肝臓に直接針を刺し、赤血球を取り出し、それを顕微鏡で検査する方法だそうです。
※肝生検での脂肪肝画像とNASH画像。
脂肪肝の白く丸いのが脂肪で、NASHの場合それが大きくなり、それを風船様腫大(ふうせんようしゅだい)と呼ぶそうです。
黒沢保裕アナ「健康診断などで、脂肪肝と診断された場合、肝生検で細胞を取った方が良いのでしょうか?」
泉 並木先生「闇雲に細胞を取る必要なないです。脂肪肝の人には、まず生活改善をしてもらって、様子を見ます」
脂肪肝の人(様子を見ながら):炎症反応が高い・血小板の数が少ない場合⇒NASHの疑いあり⇒肝生検の流れになるようです。
NASHの治療
●食事のポイント
・朝食:抜かずにきちんと食べましょう
※朝昼兼用などまとめて食べると肝臓に負担がかかります。
・昼食:外食する場合は、油控えめ和定食などを選びましょう。
間食:甘いものは控えましょう。飲み物は無糖
※砂糖は肝臓で脂肪に変えられやすく、たまりやすくなります。
・夕食:食べ過ぎないようにしましょう。
・夜食:就寝2時間前からは食べないようにしましょう。
●栄養素ごとの注意ポイント
・たんぱく質:単細胞の再生に必要不可欠。肉や魚などたんぱく質を多く含む食材を偏りなく摂る。
※ただし、肉には脂質も多く含まれているので注意が必要です。
・糖質:肥満予防のために、ごはんやパンなどの糖質を極端に控えない。
※糖質不足⇒たんぱく質で補う⇒肝臓の修復(再生)にたんぱく質が使えなくなくなる⇒肝臓に負担がかかる
糖質をゆるやかに吸収するには、食物繊維がおすすめ。
主食は、食物繊維を含む、玄米・大麦・胚芽パンなどがおすすめ。
大麦の効能などの詳細は下記のリンク先をご覧ください。↓
⇒ 名医のTHE太鼓判!お尻を鍛る腰痛・冷え性・睡眠・歩行を改善!(最強免疫力アップ食材)
・脂質:脂質を減らしすぎるのは良くない。
※脂質を極端に減らさない⇒肝臓病が進むと脂質をエネルギーとして使いにくくなる⇒脂質で補う必要がある。
・ビタミン・ミネラル:肝機能が低下すると、肝臓に蓄えられた、ビタミン・ミネラルの量が減る⇒積極的に摂る。
・鉄分:摂りすぎに注意
※鉄分が増えると幹細胞が傷ついてしまう。貝類・うこんなど鉄分を多く含む食材は向かない。
●運動
・筋肉は、第2の肝臓
筋肉は、有害物質を解毒し、糖を蓄え代謝(エネルギー)にする
筋肉量が増えると肝臓の働きを助けることになります。
・毎日続けましょう。
好きな運動を選んで始めましょう。
道具や場所を選ばない、ウォーキングがおすすめです。
通勤時間を利用して、一駅分歩くなど意識的に歩く時間を増やすようにしましょう。
黒沢保裕アナ「NASHの治療では、薬を使うことはないんですか?」
泉 並木先生「NASHそのものの薬は、まだないんです」
「現在、ビタミンEが有効とされています」
「ビタミンEは、肝細胞の酸化を抑えて肝機能低下を防ぐということが分かっています」
「薬に頼ることなく、生活習慣の改善をしっかり続けていただくことが大切です」
注意:NASHの人で、津尿病、高血圧がある場合、
使用する薬がガイドラインで決められています。
・糖尿病の人:ピオグリタゾン
・高血圧の人:ARB
黒沢保裕アナ「どうして、使う薬が決められているんですか?」
泉 並木先生「糖尿病の薬にはインスリンの分泌を促す薬とインスリンの働きを促す薬があります」
「インスリンの分泌を促す薬を使うと肝臓の繊維化が進むことが分かっていますので薬を限定しています」
「高血圧の薬ARBは、NASHの肝臓の繊維化を防ぐことが分かっています」
黒沢保裕アナ「食事と運動の生活習慣を改善し、続けていけば、NASHが元のきれいな肝臓に戻るんでしょうか?」
泉 並木先生「肝機能が戻ると言うことはよくあります。
NASHの治療効果
●NASHの治療が成功した患者さんの例
主婦Aさん(62)の生活習慣(NASHと診断された時の)
・アルコール週1回(少量)
・甘いものが好き
・間食が多い
・肥満体型
・運動習慣なし
主婦Aさんの食事と運動で治療方法
・食事
食事の量:管理栄養士の指導により1日1300Kcal
参考:50~69歳
身体活動のレベルが低い場合
必要量1日1650Kcal
⇒ ⇒ 名医のTHE太鼓判!お尻を鍛る腰痛・冷え性・睡眠・歩行を改善!(明日から使える病院の料理テクニック)
甘いものを含む間食を止める
・運動
毎日20分以上早歩き
週1回スポーツジムで運動
3ヶ月後:4kg減量に成功、肝機能の数値が改善しました。
泉 並木先生「少しの減量で成功した例です。個人差はありますが、きちんと生活習慣を改善できれば脂肪肝やNASHは改善できます」
「生活習慣の見直しをすることがとても大切です」
まとめ
●非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
・原因:食べすぎ・運動不足
・NASH肝硬変⇒肝がんへと進行する可能性がある
・NASHの特効薬:食事・運動(生活習慣の改善を続けることが必要)
●脂肪肝からNASHになりやすい人
・50歳以上の男女
・BMIが23以上
・生活習慣病がある
・血液検査(ALPが高値・血小板数が低値)
●NASHから肝がんになりやすい人
・60歳以上
・BMIが30以上
・2型糖尿病がある
・血液検査(血小板が低値・肝機能低下)
●NASHの診断
・血液検査と超音波検査で脂肪肝有無を調べる
上述では分からないことがある⇒肝生検
●NASHの治療
・食事のポイント
朝食は抜かない
昼食は油控えめ
間食は甘いもの(砂糖)は控える
夕食は食べ過ぎない
夜食は就寝2時間前には食べない
・栄養素ごとの注意ポイント
たんぱく質:単細胞の再生に必要不可欠
糖質:極端に控えない
脂質:脂質を減らしすぎはNG
ビタミン・ミネラル:積極的に摂る
鉄分:摂りすぎに注意
●運動
・筋肉は第2の肝臓
・毎日続ける
・ウォーキングがおすすめ
・NASHの治療は薬に頼らず生活習慣を見直す
・生活習慣の改善で肝機能が戻ると言うことはよくある
食べ過ぎと運動不足だという方は、生活習慣を見直してください。
最後までありがとうございました。