2019年8月12日放送のきょうの健康の特集は、こころの病気 総力特集。今回は「ゲーム障害」について紹介されました。
25歳男性会社員のAさん普段スマートフォンやパソコンは、メールやインターネットを少しの時間利用するくらいでした。
ある日Aさんは仕事で大きな発注ミスをしてしまいます。
「なんてことをしてしまったんだ」と自分を責め軽いストレスからインターネットのオンラインゲームに没頭するようになりました。
遅刻や欠勤が目立って増えていくAさん、ついには会社を辞め1日20時間もゲームをするようになってしまいました。
それだけではありませんクレジット決済をしていたゲームの課金が50万円にも膨らんでいたのです。
Aさんは「ゲーム障害」と呼ばれる状態に陥っていました。
今回教えてくださるのは、国立病院機構 久里浜医療センター 院長 樋口進先生です。
専門は神経科、特に依存症の治療
ゲーム障害
WHO(世界保健機関)に2019年に国際疾病分類に加えられました。
スマホの普及とともにゲーム中心の生活から心や体がむしばまれてしまう若者が世界中で増えているということで、
今回病気として認められるきっかけ動機となりました。
ゲーム障害の患者は現在分かっていないそうです。
ネット依存については、
- 成人:推定421万人(2013年)
- 中高生:推定 93万人(2017年)
久里浜医療センターの外来では、ネット依存の90%が「ゲーム障害」で
SNS・動画が37%なんだそうです。
Q.ゲーム依存ではなくゲーム障害と呼ぶのはなぜ?
依存(WHOの分類)
- 物質依存:アルコール依存・ニコチン依存・薬物依存
- 行動嗜癖(しへき):ギャンブル障害・ゲーム障害
ゲーム障害:アルコール依存・ギャンブル障害と脳に起きる変化が似ていることが分かっているそうです。
◆ゲーム障害で起きた問題(120人)
- 欠席・欠勤:59%
- 引きこもり:33%
- 朝起きられない:76%
- 昼夜逆転:60%
これらのために
- 退学・放校:12%
- 失職:7%
日常生活に非常に大きな影響があると言う事ですね。
◆ゲーム障害で起きた問題(120人)その他
物にあたる・壊す:51%
家族に対する暴力:27%
ゲーム障害が暴力行為につながるということですね。
ゲーム障害の兆候
- 使用時間がかなり長くなった
- 夜中までゲームを続ける
- 朝起きられない
- 絶えずゲームの事を気にする
- 他の事に興味を示さない
- ゲームを注意すると激しく怒る
- 使用時間や内容などについてうそをつく
- ゲームへの課金が多い
Q.兆候に気付いたらどうする?
まずは注意する⇒ゲーム時間が減るなら問題ありません。
減らない場合は「ゲーム障害」が疑われます。
現在全国80ヶ所の医療機関で治療を受ける事ができるそうです。
分からない場合は、精神保健福祉センター・保健所へ相談。
ゲーム障害の診断
- ゲームのコントロールができない
- 他の生活上の関心事・日常の活動よりゲームを優先する
- 問題があるにもかかわらずゲームを続ける
個人・家族・会社における、学業上または職業上の機能が果たせない
これらの状態が12ヶ月以上続く場合、ゲーム障害と診断されます。
ゲーム障害の治療
診察:症状・健康問題・日常生活の把握⇒治療方針をたてる
現在のところゲーム障害に対する有効な薬はないそうです。
カウンセリング:
患者さんに対して、ゲーム障害を理解する。
ゲームを減らす・やめる必要に気付かせる
医師・心理士は、ゲームへの思い、没頭してしまう原因・日常的なストレスを聞き取り治療に役立てる。
デイケア:
集団で運動(久里浜医療センターの場合、卓球・バドミントン)したり、一緒に食事をしながら、ディスカッションをする。
・運動:ゲームのために体力が下がっている事、ゲーム以外に楽しい事がある事を実感させる。
・ディスカッション(患者さんを集め):どのようにしてゲームの時間を減らす。
ゲーム以外の活動を充実させるかを話し合う(他のゲーム障害患者から直接学ぶ事ができる)
認知行動治療(考え方と行動を見直す治療)テーマについて集団で話し合う
- ゲームの良いところ・悪いところ
- ゲーム以外の楽しみ
- 自分の1年後・2年後を考える
ゲーム障害の患者さんは、コミュニケーションに不得手感を持つ人が多いため⇒ゲームに走る
►集団で行動する事でスキルアップできるというメリットがあります。
その他、家族が参加する家族会や治療のためのキャンプなどもあるそうです。
入院療法(限られた医療機関でしか行われていないようです)
入院する患者さんは、頭の中はゲームで一杯で医師がカウンセリングしても頭に入らないため、
ゲームから遠ざけるために入院させるそうです。
入院期間(2ヶ月間)中は、
ゲームなどオンライン器機は使えません。
生活リズムを整えます。
ゲーム・学校など生活設計を話し合います。
ゲーム障害の予防
●子供への対処
- ゲームをやり始める年齢を遅くする
- 1日のプレー時間や時間帯、場所を決める
- ルール作りには子供の意向も尊重する
- リアル生活の充実をはかる
*決めたルールは貼りだしましょう。
これらのルールを決める事でゲーム障害の予防になると言われています。
※ゲームによる問題が起きたら家族だけで対処せず、医療機関など部外に支援を求めるようにしましょう。
最後に
ゲーム障害は、若者の人生や学業、将来の設計から人生そのもののに大きな影響を与えるようですから、
その兆候を見つけたら医療機関など部外に支援を求めるようにしたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。